カフカについて独断

カフカの小説は時代の空気を先読みしているようだ。何故?

冷徹に現実を見据えていたからではないか?カフカの小説はシュールなようで、リアリズム文学と同じに感じる。「うん、現実ってこうだよな」という感覚。「風と共に去りぬ」や「ボヴァリー夫人」を読んで、「現実ってこうだよな」と感じ、主人公に反して自分は反面教師を目指すか・・・。

つまり、リアリズム文学と同じ、現実の提示はあるが、解はない。のが、カフカの小説ではないのか。現実に解はないから、解があったら、それは欺瞞になるだろうが。

審判 (岩波文庫)

審判 (岩波文庫)

城 (新潮文庫)

城 (新潮文庫)

変身・断食芸人 (岩波文庫)

変身・断食芸人 (岩波文庫)

「審判」はナチスの台頭を予見していたような小説だし、「断食芸人」はカフカ自身の死に方を予見していたかのような内容だ。
カフカが41歳で死ななかったら、自分の妹達、自分が関わった恋人達の何人かが、強制収容所で命を落とすのを、防ぎ得ただろうか?

カフカの死後の名声。そんなものより大切なのは、例えば現在の日本で、地震放射能、経済危機、北朝鮮、の四重苦の中で、自分を守る実務的な才能が、自分の大切な人達も守れる可能性があるから大切。