神を信じて何になるのか

C.S.ルイスは見える世界と見えない世界、現世と来世という二つの世界を束ねて一つにします。自爆テロ犯は、一方のために他方を犠牲にします。キリスト教禁欲主義者は、来世のために現世の楽しみを慎みます。でもルイスは、現世と永遠という二つの世界は互いに絡み合っていると堅く信じていました。
(略)ジャック・モノーは、現代の象徴的な視点をとらえて言いました。「人は、異質な世界で生きることができるようにならなければらない。音楽も聞こえず、苦しみや犯罪に無関心であるように希望にも無頓着な世界である。」そしてこう付け加えます。「ついに人は、感情のない宇宙の途方もない広がりの中でひとりぼっちであることを知る。その宇宙から、人は偶然出現したにすぎない。」サルトルハイデッガーカミュのような作家は、、ルイスの生きた時代に、「疎外」というテーマを掘り下げて作品を書きました。

神を信じて何になるのか

神を信じて何になるのか

光の対極は虚無。

ノーベル賞受賞作家エリ・ヴィーゼールは、高明なラビとの対話の中で、長く悩んできた疑問を口にします。「アウシュビッツを経験した後で、なぜあなたは神を信じることができるのですか。」ラビは長い沈黙の後、聞き取れないほど小さな声で答えました。「アウシュビッツを経験した後で、なぜあなたは神を信じないでいられるのですか。」(略)「神以外に、アウシュビッツによって暗くなったこの世界に何が存在したでしょう。」ヴィーゼールはこう問うています。