私の父

大学を出てサラリーマンをした。しかし、江戸時代末から続く呉服屋の長男として、家を継ぐ覚悟もあり、会社で労働組合の指導者になって退職した。

母の両親は、初めて父を見た時、多い髪が山嵐のようだったので、「共産党の親玉みたいだね」という印象を持ったそうだ。

洟垂れて 願人坊主 懐手

山の音 ふえて凍滝 ゆるみけり

「ハスキー」と聞かれし犬と青田道

碁仇を 見舞いそびれし 梅雨入りかな

拝観の 叶いし古刹 寒牡丹

世に疎とき 暮らしへ 鵙の来て猛る

梅雨晴れや 老躯に飾る 何も無し